UCバークレー留学記

カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)での思考の記録。

幸せなキャリアの一条件: できること、やるべきこと、やりたいことが重なるとき

大学時代、就職活動を前にして迷っていた自分に、とある先輩からこういうことを言われました。

どこに就職しようか迷ったら、

① できること(過去)

② やるべきこと(現在)

③ やりたいこと(未来)

この三つを考えてみるとすっきり整理できるよ。

 

先輩の言葉に、うーむなるほどと思いました。ただ、二十歳そこそこの自分には経験が足りず、この三つに対して十分な答えが出せなかったことを覚えています。

 

その後働きはじめて10年と少したち、様々な経験をくぐりぬけながら、自分にとってのできること、やるべきこと、やりたいことの三つをかなり明確に理解することができるようになりました。

 

 

そして、今思うのは、幸せなキャリアというのは、この三つが概ね重なっているときに実現しやすいのではないかということです。逆に言うと、この三つが離れている時間が長いと、結構きついものがあります。

 

できること(過去)。これは、それまでに培ったスキルや人脈などで決まります。キャリアを積めば積むほど、自分の持つスキルや人脈をどのように生かすかが、その後のキャリアメイクの基本となります。Steve JobsがStanfordの卒業式で述べたConnecting the dotsの考え方ですね。

 

やるべきこと(現在)。これは、概ねその時々の仕事によって決まります。給料をもらって仕事をしている以上、自分の持ち時間の9割くらいはこれに向けられるので、普通はここをこなすので精一杯になりがちです。

 

やりたいこと(未来)。これは、自分のキャリアのなかで、これを成し遂げたい、と思えるもの。大きなものから小さなものまで、長期から短期まで、様々なレベルで存在します。

 

この三つに大きな齟齬があると、不満がたまりやすいように思います。

たとえば、自分の持っているスキルや人脈(できること)が仕事のなかで生かせていない(やるべきこと)場合、もっと自分はできるはずだという不満を持つのは自然です。

あるいは、仕事の中でスキルも人脈も生かせているけれど(できること=やるべきこと)、自分がやりたいと思っている方向と大きく違う(やりたいこと)場合には、気持ちの折り合いをつけるのが難しいかもしれません。

 

この三つを重ねていくための方法は二つあります。たぶん無意識のうちに、どなたもどちらかを選択してキャリアを歩んでいると思います。

 

ひとつは、日本の理想的なサラリーマン像のとおり、やりたいことを柔軟かつオープンにしておいて、できることとやるべきことの一致にのみ努めるというものです。すなわち、与えられた仕事で成果を出すべくひたすら努力するということです。頻繁な異動(ジョブローテーション)というのは、その理想像を前提として組まれています。

私は今回のキャリアチェンジを目指すに当たって、多くのシニアな方々に、キャリアについて相談しました。特に「成功者」とされているような、一流とされる組織で役員以上の方は必ずと言っていいほどこのこの考え方を持っています。そしてよく聞かれたのは、「重要な局面でいろいろなことに携わらせてもらって、サラリーマン冥利に尽きる」という言葉でした。組織として最重要な課題へ配置されることを良しとする、このサラリーマン冥利という言葉、日本の伝統的なキャリア観を表しているのではないでしょうか

 

もうひとつの方法は、できること(過去)とやりたいこと(未来)のギャップを埋められるように、やるべきこと(現在)を選択してキャリアメイクしていく、という方法です。

仮に一時的に年収は落ちたとしても、戦略的に次につながるキャリアであれば投資として捉えるような考え方も含まれます。

たとえばアメリカではこの三つを明確にストーリーとして説得力をもって語れないと、大学院のアプリケーションも、ジョブインタビューも通らないという実態があります。景気や社会情勢などのコントロールできない因子がありますので、アメリカ人だってもちろん現実と折り合いをつけてはいます。しかし、日本のサラリーマンのように、やりたいことをほぼなくし、組織から割り振られるすべてのキャリアの機会にフルオープンということはなくて、やはりこの三つを一致させようと努力しているように見えました。

 

この二つの方法は、今日の日本ではまだどちらも有効だと思いますし、ハイブリッドにするのが現実的だと思います。自分はいまのところ後者に寄っていますが、現実的なおとしどころを見据えつつ、この三つを重ねていきたいものです。