UCバークレー留学記

カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)での思考の記録。

GSI ②:"Energy and Society"(エネルギーと社会)

phdryugaku.hatenablog.com

 

さて、今学期のGSIとしての具体的な活動をご紹介します。自分がバークレーで受けてきた授業は、非常にシステマティックに、効果的に、運営されていたんだなと感動しているところです。

 

UCバークレーは、エネルギーや環境の分野の研究において世界的な中心地ですが、同分野の教育についても他大学のモデルとなっています。

日本では、リチャード・ムラー教授が行った、バークレー白熱教室が有名です。ムラー教授は、著名な物理学者であるだけでなく、一般向けの著書で全米ベストセラーをいくつも書かれています。

www.nhk.or.jp

 

さて、自分がGSIをしているのは、エネルギーの授業として最も人数を集め、文系・理系を問わずバークレーにおける「エネルギー問題の入り口」とされている"Energy and Society"(エネルギーと社会)の授業です。

 

nature.berkeley.edu

 

まず、この授業、授業のビデオはすでに公開されているほか、文献、配布資料、宿題、試験、解答もすべて上記のウェブサイトで随時公開されていきますので、エネルギーと環境に興味のあるかたはぜひご活用ください。

上記の公開ウェブサイトは、学内生の使っているbCourse(非公開)と全く同じ情報が同じタイミングでアップされますので、授業をとっているのとほとんど同じことができます。違いといえば、採点を自分でやらないといけないことくらいです。

この授業は4単位ですので、一学期に16単位を受講するとすると、州外生の授業料225万円/学期を4で割って、50万円くらいの価値があるといえます。それをすべてオープンにするために(録画、著作権etc)、大学側と教授側がかなりのお金を支出しています。これを利用しない手はありません。

昨年の授業はこちらで見られます(全26回)。

www.youtube.com

 

講師は、私の指導教官のDaniel Kammen教授です。

Renewable & Appropriate Energy Laboratory | Kammen, Daniel

 

この授業は学部上級生200名、修士・博士の学生100名が学ぶ、非常に大規模な授業です。こんな教室で行われます。

f:id:knjshiraishi:20150909100008j:plain

 

内容は、あらゆるエネルギー源に関して技術、経済、社会、開発等の分析を行う、非常に学際的で、かつ包括的な内容となっています。具体的な問題を、自分で手を動かして数多く解くことが求められますが、この授業についていけばエネルギー問題を一通りカバーできるという、驚異的なコースになっています。

 

このように大規模で学際的(=ついていけるように学生のフォローが重要)、かつ宿題やテストがたくさんある授業のため、指導もチーム体制をとっています。自分を含めて5名のGSI(TA)、2名のReader(採点者)、そしてKammen教授の8名で授業に当たっています。

 

ER100 Energy and Society

 

 

このチームで毎週一時間のミーティングを行い、宿題や配布資料、試験内容などを確認します。

 

GSIの仕事としては、

  1. 週2回、1時間ずつの演習を教えること。それぞれ20数名の学生が出席。
  2. 週2時間のオフィスアワー(オフィスに学生が質問に来る)に対応すること。
  3. 隔週で出す宿題(Problem Set)を作成すること。
  4. 中間試験と期末試験を作成すること。
  5. 中間試験と期末試験の準備授業(Review Session)を行うこと。
  6. 中間試験と期末試験の試験監督を行うこと。
  7. 学生の質問メールに24時間以内に対応すること。

これに対し、Readerは、採点のみを行います。

教授は、週に3時間の授業を教え、7名のチームのマネジメントと最終判断を行います。

 

私も日本で大学の授業を教える機会を何回か持ったことがありますが、授業も宿題作成も採点もすべて講師の自分が行っていました。一度、150名の学生の宿題を採点したことがありますが、あれは大変でした。

バークレーでは(そしておそらく他のアメリカの大学でも)、こうした教授とTAやReaderの役割分担がしっかりしており、それぞれの役割に集中することができます。そしてPh.Dの学生にとって、授業を教えたり、レッスンプランを作ったりする経験は、アカデミアで仕事をしていくうえでのトレーニングと位置付けられています。このトレーニングが、非常にシステマティックなのです。

次回は、GSIに与えられるトレーニングとサポートについてご説明したいと思います。毎週目からうろこが落ちる経験です。研究には関係ないですが、これはこれで貴重な経験だと思い、楽しんでいます。

 

授業はこの建物、Li Ka Shing Centerで行われています。f:id:knjshiraishi:20150909104550j:plain

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