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UCバークレー留学記

カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)での思考の記録。

電気自動車(EV)の普及状況など ①

エネルギー政策

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新興国や途上国に行けば嫌でも実感することだが、世界中でモータリゼーションが加速している。90年代に自転車の海だった中国は世界最大の自動車市場となり、大気汚染が健康上の最大の問題と一つとなっている。ジャカルタやマニラでは数時間渋滞に巻き込まれることは珍しいことではない。

購買力が上がるにつれ、人々は自転車からバイク、そして自動車へと乗り換えていく。交通分野のエネルギー消費量は、継続的な燃費向上にも関わらず過去30年間で2倍となった。乗用車の年間販売台数は、2015年に8000万台に達したが、2030年に1億2000万台、2050年に1億8000万台となることが予想されている。そして地球上の総台数は20億台に達する。

 

急速に進むモータリゼーションに伴って発生する大気汚染や温室効果ガスの排出等の問題を解決するため、過去100年続いた内燃機関(ガソリンエンジン)から電気自動車(EV: Electric Vehicle)への移行を目指して企業や政府は取り組みを続けてきた。電気自動車は、通常バッテリーのみで走るBEV(Battery Electric Vehicle)と、PHEV(Plugin Hybrid Electric Vehicle)の両方を言うことが多い。このエントリでもそれに従うことにする。

 

1. 現状

電気自動車が割合として一番普及している国はどこだろうか。

その答えはノルウェーである。2014年には、なんと販売台数の12.5%を占めた。その理由は大規模な補助金や免税にある。ノルウェーは豊富な水力資源を持ち、電力需要の95%を水力発電でまかなっているため、温室効果ガスの排出削減や大気汚染の防止という点で電気自動車の普及メリットは大きい。同じように水力資源の豊富な国(ラオスなど)や州(アメリカならワシントン州)は電気自動車への移行のメリットが大きい。

ノルウェーに続くのは、オランダ(3.9%)、アメリカ(1.5%)、スウェーデン(1.4%)である。日本は0.7%となっている。(いずれも電気自動車が2014年の販売台数に占める割合)

電気自動車のネックはその価格と航行距離である。高コストの原因は主にバッテリーである。バッテリーが全体コストに占める割合は25〜50%と言われている。リチウムイオン系のバッテリーの価格は劇的に低減しているが、それでもまだガソリンエンジンよりも高い。

The Cost Dilemma: Why Are Batteries So Expensive? | The MIT Entrepreneurship Review

航行距離はモデルにもよるが、90キロから160キロ程度とされている。通勤に使う程度なら十分な距離ではある。他方、長距離を走るにはまだ十分とは言えず、充電ステーションの充実が鍵となってくる。

 

米国

アメリカは世界最大の電気自動車市場である。2014年の電気自動車の販売台数は約9万台であり、概ね55%がPHEV、45%がEVだ。エネルギー省によれば、2014年時点で9000か所の充電ステーションが整備されている。

 

2. 将来

中国

電気自動車は、運転時に排ガスを排出しないため、中国で大きな問題となっている大気汚染の防止に効果がある。このほか、世界最大の自動車市場となった中国市場をスプリングボードとし、次世代自動車での市場拡大を目指す中国メーカーを支援する産業政策として、電気自動車の普及を後押しする力が強い。このため中国の科学技術省は、2020年の次世代車(主に電気自動車)販売台数を500万台とするターゲットを設定している。これは、インドの650万台に次ぐ世界2位のターゲットである。

購入補助に加え、政府調達の30%を次世代自動車にするなどの策を打っているが、ターゲットに到達できるかは未知数だ。

 

米国

米国は2020年に電気自動車の年間販売台数のターゲットを180万台としている。2015年の乗用車の年間販売台数は1700万台だから、約1割を電気自動車とする目標だ。

その中でも、カリフォルニア州には、かの有名なZEV規制がある。2025年までに州内で販売される自動車の15%は電気自動車か燃料電池車でなければならない(実質的には電気自動車がほとんどを占めると考えられている)。現在1%強の数字をあと10年で15%に引き上げることになる。このほか、9州がカリフォルニアと同様の規制を導入すると報じられている。

 

長くなりそうなのでまずはこの辺で。

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